2024/09/03 12:09
家族と一年商店の人気アイテムの一つ、バンブーデンタルフロス。
バンブーのケースに天然絹100パーセントのデンタルフロスが入っていて、詰め替え用もあるのでリピート購入される方も多いです。
市販のフロスってほとんどは
ポリエステルやナイロンなど石油由来プラスチックでできている。
なので使っている間にマイクロプラスチックが歯間に残り体内に蓄積されたり、(プラスチックの身体にもたらす影響...こわいなあと思います)
下水から流出してしまったり。
気軽に、そしてケアのために使っているのに、実は人にも地球にもリスクあるアイテムだったりする。
ということで、こちらのフロスはとってもおすすめ!なのですが
少し前に、お客さまから
フロスについて質問をいただきました。
それは
「このフロスはピースシルクなのでしょうか?」
というもの。
ピースシルクって、知っているでしょうか?
「成虫になる前の蚕(カイコ)を茹でてしまうことがないように配慮され作られたシルク」がピースシルク。
......
なんのこっちゃ?の方もいらっしゃると思います。
シルクって、蚕(カイコ)の吐き出す糸から作られているんですよね。
蚕は成虫(蛾です)になるために、糸を吐き出し繭を作ってその中で孵化する。
その繭を紡いで、シルクはできている。
で、孵化した繭を破って、成虫の蚕は出てくるのですが、繭が破られてしまうと長い糸として紡ぐことが難しい...などの理由で一般的にシルクは蚕が繭から出てくる前にグラグラと煮沸されて作られています。
(繭としてくっついているのを煮ることでほどけやすくするそう)
そうすると、繭のなかで蚕(カイコ)は死んでしまうのです。
養蚕とシルクの生産は、長い長い時間をかけて築いてきた文化であり
繊維と比べても生産時の環境負荷が低い天然繊細であるという考え方ができる一方、
ヴィーガンやアニマルウェルフェアの観点からエシカルではない、とも考えられます。
と、いう問題にアプローチし、孵化した後の繭を使って作り、蚕を殺すことなく作るのが「ピースシルク」なのです。
ピースシルクすばらしい!のですが
一般のシルク生産にも大変な手間がかかるところに、
ピースシルクはもっともっと手間と時間がかかるため、なかなか広く多く流通は難しいシルクでもあると思われます...。
じゃあ、この場合のベストな選択って...?いっそプラスチック由来のフロスのほうがいいのか...?
と、フロスに限らず
「エシカルな暮らし」をしよう!とする時に
「あっちを立てればこっちが立たず」という袋小路にはまってしまうことってあるよなあと思います。
わたしたちの暮らしは
誰も、何も、傷つけない、そんな選択をするのは不可能じゃないか!と「人間がいなけりゃいーんだ!」みたいな投げやりな極論で、
考えることを辞めてしまいたくなったりする。
人間だけじゃなくてすべての生き物は、
他の生き物から命や命の一部をもらって生きているのだから、
何一つ犠牲にせずに「わたし」が生きることはできないのだよなあ、とも思います。
だからこそ、命のサイクルの中で生きていることに敬意と畏怖を持って生きていけたら、と思うわけですが、敬意も畏怖も忘れて生きているのが今のわたしたちの「エシカルじゃない暮らし」なのではないかしら?
...数年前、娘が小学校の低学年だったころに、卵をもらって蚕を育てたことがあります。小さな小さなぽつぽつっとした卵から芋虫が生まれて、蚕ってば「桑の葉」しか食べれないので、(桑の葉しか食べれないよう歴史の中で改良された家畜なのですね、蚕は。なので野生では生きられない)連日近所中をまわっては桑の葉を集めて、せっせせっせ与えて。むしゃむしゃ食べるたびにムクムクと大きくなっていく芋虫たちは、虫好きじゃないわたしから見ても「...か...かわいい...」と思える生き物でした。(お世話して愛着がわいたのもある)
時が来ると静かに繭を作り出し、そして繭を破って成虫が出てきた(成虫もモスラみたいでかわいい)
でも成虫は、改良された家畜故に、飛ぶことも食べることもなく、おうちがわりにしていた段ボールの中をブブブブと動き回って、交尾して、卵をいっぱい産んで、命を終えた。
全ての子たちが白い繭に包まれた時、その繭を破ってついに成虫が出てきた時の不思議と感動は
わたしの中にも大きく心に残っていて、
繭は今も家の中にあります。
誰かや何かから見たら
残酷なことかもしれないし、残酷ではないことなのかもしれないし、
意味があることかもしれないし、意味なんてないことかもしれない。
なにが「エシカル」なのか、
フロスひとつとっても、その答えはなんとも難しく、人によっても変わるものだと思います。
だから
ひとつのフロスを「エシカル」に作ろうとすることがどれだけ大変なことなのか、想像しながら手に取る時、
同時に、自分にとって一番大事にしたいことは何かな?と考えること、
何かを選択しようとする時に「エシカル」を意識してもなお、そこには何かや誰かにとってはハッピー!では決してない
課題や問題が残っていると忘れないこと、感じること。
そんなふうに暮らすってめんどくさーいし、時に疲れはてーる、
かもしれないけど、
喜びだけじゃなく痛みも感じるからこそ、人らしく。
楽しさだけじゃなくしんどさも抱えるからこそ、人らしく。
生きていけるんじゃないかしら、って
そんなことをおもい巡らせながら、
今日もせっせとデンタルケアをしたいと思います。